DP2 Merrillと野原工芸と南木曽ろくろ細工の話

はじめに

カメラ機材を紹介するブログのはずですが、最近ちょっと記事の幅を広げてみようと思っており、今回は趣向を変えた記事を書いてみようと思います。というのも、「お散歩カメラ」のレビューの一環として長らく私の必殺カメラであったDP2 Merrillのレビュー記事を書こうと思い立ち、過去の作例を整理していたところ、妻籠宿で初めて撮った下の画像が見つかったからです。

ドットバイドットとはこのこと。ISO200, f2.8, 1/50s

DP2 Merrillと妻籠宿

2015年当時、新品のラストロット?が44000円くらいで売っていた頃に「ヤバいカメラがある」という噂を聞いて、公式ページの作例に驚愕し購入に至りました。これは多分初めて試写をした日の画像ですね。勿論バッテリーは4個くらい持っていきました。撮影時の設定ですが、何かの記事で「DP2MはISO200が最高画質」と読んで試してみていた記憶があります。帰宅後にSigma Photo Proで現像した後、つるべの縄の、どこまで拡大しても繊維の一本一本が解像している様を見て、本当にこのカメラを買って良かったと思ったものです。DP2Mを使ったことのある方々には、このような原体験をお持ちの方が多いのではないかと思います。

野原工芸の思い出

当時私は愛知県に住んでいましたが、この日私がはるばる妻籠宿へ出かけたのは、当時集めていた野原工芸の「木のボールペン・シャープペン」を実店舗で見たいがためでした。当時は休日に妻籠宿で出張販売がされていた記憶があります。この日は妻籠宿の販売所で、源平の木曽ひのきの太軸ペンと、当時廃盤だったマーブルウッド(黄金樟)の太軸シャープペンを買ったような…

DP2M、2015年の写真。ISO320, f2.8, 1/50s

当時も定期的な変わり杢の販売の時にはサイトが落ちそうになっていましたが、レギュラー品は自由に買えましたし、お店に気軽に行くこともできました。上の画像の左から4番目の槐のシャープペンは、南木曽の店頭で「変わった木目だけどレギュラー品の価格でいいよ」と売って頂いたものですね。そもそも私が木軸ペンを集め始めたきっかけはエレキギターに使われている木材を文房具として持ちたいというもので、最初に買ったハカランダのシャープペンが一番のお気に入りでした。その後、嫌なことがあった時や自分を奮い立たせたい時に1本ずつ買っていき、1週間日替わりで使っても余ってしまうくらいの本数を揃えてしまいました。結局色気が出てきて、特売を狙って黒柿や花梨などギターとあまり関係のない高級木材ばかり収集する路線へ行ってしまいましたが、今思えば欅や桜など「南木曽ろくろ細工」を思わせる樹種をもっと味わっておくべきだったと思います。もちろん今からでも遅くはないですが。

バーズアイメイプル同士。これはPowershot S95。

南木曽ろくろ細工について

野原工芸との出会いをきっかけに「南木曽ろくろ細工」やそれを作る方々を知ることができました。随分前の話になりますが、東京の青山で日本の伝統工芸の展示会があり、(なぜそこまでして行く気になったのか記憶がありませんが)当時住んでいた静岡から東京へ出掛けたことがありました。野原工芸の展示も見ましたが、その日それ以上に印象に残ったのが、お互いに軽口を叩き合いながら(?)和気あいあいと展示をされている、南木曽ろくろ細工の出展者の皆様でした。当時の私のような若造にも親切に色々話しかけてくださり、暖かい気持ちで帰路に就いたのを覚えています。その後南木曽にあるお店で数回買い物させて頂くなどしましたが、いつも親身に接客してくださるので、工芸品の良さもさることながら「また来たいな」という気持ちにさせてくれます。というか、数ヶ月前にお店へ行った時に散々悩んで結局買わなかった黒柿の小物トレー、まだ売れずに残っていて欲しいです。

おわりに

「お散歩カメラ」レビューの一環でDP2 Merrillの思い出に浸っていたら、ついつい野原工芸や南木曽ろくろ細工について語りたくなってしまいました。DP2 Merrillとの思い出は他にも色々数え切れませんが、こういった生きた思い出の中で一際強い存在感を放つカメラこそが、最良の「お散歩カメラ」(いや「旅カメラ」?)なのかもしれないですね。

妻籠宿付近の景勝、寝覚の床。早朝に行ったら観光客は私1人でした。切り立った岩の上を自由に散歩できるのですが、落ちたらなかなか見つけてもらえそうにないですね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です