子供に破壊されない自宅ライティング環境を考える
はじめに
これまで数多の高額機材を購入しては売却してきた筆者ですが、デジタルカメラとして最大級の645フルサイズセンサー(Phase One IQ280)まで使ってみて気づいたのは、写真は光で決まるという普遍的な事実でした。とはいっても私の主な撮影対象が子供(幼児)や行楽中の家族なので、光にこだわることができる状況などそうそう訪れないのですが、そんなことを言っていてはいつまでたっても初心者から抜け出せない気がするので、一念発起、ちょっとだけライティングにこだわってみようと思い立ちました。
そこで、「オフカメラライティングのためにとりあえずライトスタンドを買ってみるか?」など色々構想してみたのですが、どう考えてもそんなものを子供の手の届くところに立てようものなら、コレハナアニ?などと言いながらスタンドを薙ぎ倒しに駆け寄って来るに決まっています。したがって、まずスタンドを使用するライティングはほぼ不可能と言ってよいでしょう。世の中にライティングの教科書なるものは数多存在しますが、大半はスタンドの使用を前提に書かれているので、動き回る子供をワンオペで、時に子供と遊びながら/うまく子供の気を引きながら撮影するための方法というのは案外深掘りされていない気がします。そんなわけで、子供に破壊されない自宅/行楽ライティング環境を考えてみたいと思います。※以下、本記事はアフィリエイトリンクを含みます。
手持ちのライティング機材とその限界
私の現在所有しているライティング機材は
・Profoto A1X ×1個
・Profoto Connect ×1個
の2点です。A10が発売された頃(2021年頃と記憶)に、旧品として安売りされていたセットを82,800円で購入したものです。Profotoを買っておけば他のストロボに目移りすることが無いだろうと見越しての購入でしたが、実際Profotoを使うと何かが違う気がします。秋のススキ野原で、Clic式のドーム型ディフューザー(購入時の付属品)を取り付けて日中シンクロのポートレートを試したことがありますが、適当に撮っただけなのにすごくカッコよく撮れてしまい驚きました。Profoto Connectは、AUTO(TTL)、MANUALの2種類のスイッチしかないシンプルなコマンダーですが、本体との接続はスムーズですしバッテリーの持ちもなかなか良いという優秀な製品です。
室内撮影では、もっぱらオフカメラで壁or天井バウンスにて被写体の斜め前から光を当てるような運用をしていますが、私が下手だからか、光が硬く、また影の目立つ作例になることが多いです。光をソフトにしたり、強すぎる影を消したりできたらもっと自然な写真が撮れるのに…と、ストロボで撮るたびに思っていました。
オフカメラ1灯からのレベルアップ
・光をソフトにする
・強すぎる影を和らげる
この2点を実現するための方法として、まず(いかにもカッコいいので)「2灯(オンカメラ+手持ちオフカメラ)」を考えました。一応多灯対応のワイヤレスコマンダー(Profoto Connect)も持っていることだし早速Profotoのストロボを買い足すか…と思ったところ、現行のProfoto A10が15万円くらいする(’24年10月現在)という事実に驚愕しました。いつの間にそんなに高くなったの…?私がA1Xを買った頃の倍の値段とは。気づけばGodoxの値段も昔の倍近くなっていますし。円安恐るべし。早々に2灯は諦めました。
仕方がないので、次の手段としてアンブレラ、ソフトボックス、レフ板等の「ライトシェーピングツール」導入を検討することにしました。作例や用途を見るに、私の用途的にはアンブレラが最適に思えたのですが、かなり嵩張りますし、運用するにはスタンドかアシスタントが必要に思えるので却下しました。残るはソフトボックスとレフ板です。
ソフトボックスには、アンブレラより小さく携帯性・機動性を重視した製品があるのが良いですね。小さい程光の拡散効果が減るというトレードオフが生じるのが痛いところですが、予測不能な動きをするキッズに対応するには機動力が優先です。Amazonで検索すると下記のような製品が引っかかりますね。
NEEWER 新版フラッシュディフューザー 2パック(15cm八角形、15×12.5cm長方形) スピードライトソフトボックス 折りたたみ Z2 Z1 V1 ラウンドヘッドフラッシュ用 コンパチブル Godoxフラッシュ NS5P
ボックスとヘッドをマジックテープで固定するタイプです。使ったことがないので想像でしかありませんが、ちょっとマジックテープがズレそうで不安です。もうちょっときっちり留められるものはないものか…
Nissin ニッシンデジタル ミニソフトボックス MS-01
この商品は、ボックスとストロボをクランプで固定する仕組みのようです。信頼のニッシン製ですし、これ良いんじゃないか?とポチりかけましたが、よく見るとこの商品、四角いヘッド形状のみに対応しており、Profotoのような円形ヘッドには使えないようです。残念…
そこで候補に挙がってくるのが禁断のProfoto純正品です。clic対応品ならA1Xにワンタッチで装着できて機動性最高だし…
Profoto Clic ソフトボックス オクタ2フィート
超カッコいい、けどやっぱり高い!AmazonにはProfoto直販サイトより随分高いリンクしかないので、上記リンクは画像紹介のため便宜上貼った物ですが、その他ネット通販を見ると、2024年10月現在、60cmサイズが最安でも5万円弱ですね。純正品で揃えた方がA1Xのストロボの素性の良さを生かせそうな気がするのですが、ちょっとお値段的にきつい…ソフトボックス、いったん保留です。
次にレフ板について考えてみます。1灯ストロボの影を和らげる目的であれば、ストロボ照射方向と異なる向きからレフ板で光を当てるの(例:クラムシェル)が1番の正攻法な気がしますし、うまく使えるならぜひ使いたいところです。しかし手持ちで使うのであればストロボは実質オンカメラ限定になりますね(手は2本しかない)。右手でカメラを構え、左手でレフ板を使うスタイルです。カメラ+ストロボが重すぎて右手が攣りそう。ただ、下記Youtubeリンクで紹介されているように「地面に置く」だけでも効果があるようです。これならばカメラの操作に両手が使えますが、こんな物を床や地面に置いたら子供の「コレハナアニ?」攻撃の餌食になりそうですね。
「コレハナアニ?」攻撃を考慮すると、逆転の発想(?)で下記のような衝立式レフ板は結構使えそうです。これなら子供に倒されても、壊れたり怪我をしたりのリスクが少ない気がします。室内で使うなら一考の余地ありです。
エツミ レフ板 反射板 レフ板α2 光沢/梨地 セット B3 サイズ (515mm×364mm) 【 補助光/反射光/軽量/コンパクト 】VV-82651
結局、どうする?
うだうだ悩みましたが、じゃあ結局どうするのか?なかなか決められません。そんな折、Profotoのソフトバウンスが中古で12000円(ポイント込みで11000円相当?)で売られているのを発見。小型ながら、場所を選ばずにバウンス効果が期待できそうですし、手持ちのClic式ドームディフューザーと併用して色々工夫できる点など魅力的です。これによって「光をソフトにする」「影を和らげる」、両方達成できそうな気がしませんか?
…などと考えていたら、気づけばポチってしまっておりました。
参考:デジカメWatch 小型軽量「Profoto A1」を生かした“迅速・軽快”ポートレート撮影
https://dc.watch.impress.co.jp/docs/review/special/1092703.html
ただ、このソフトバウンスに関するネット上の数少ない商品レビューを見ると「被写体に近づかないと効果が薄い」などと、あまり期待してはいけない感じの文言が散見されます。それでも購入を決めたのは、私が「変わったもの好き」だから、それだけです!いや、「Profoto純正品で揃えることにより、一貫した設計思想で作られた光を扱える」という点もある気がします。多分後者が1番大事です。
ただ、結局一方向からしか光を照射しないので「影を和らげる」効果が弱そうなのが残る悩みです。リンクの三角レフ板(かなり評判良さそう)の購入をかなり悩みましたが、レビューに「勢いよく開くので危険」というコメントが多数あるため、子供のことを考えて断念しました。
UNPLUGGED STUDIO レフ板 三角レフ Mサイズ AC-035
おわりに
ワンオペで、子供と遊びながら光にこだわった撮影をするというのは、やはり難しいのかもしれません。先日、某全国チェーンの写真スタジオで家族写真を撮ってもらいましたが、撮影者含めたプロのお姉さんが3人、あの手この手でニコニコと子供の気を引きながら、幸せな感じの写真を撮ってくださる手腕に本当に救われました。(「白鳥の水かき」のごとく、切り取られた幸せな一瞬の影に、どれだけの苦労とイライラとアンパンマンのぬいぐるみの活躍があることか!)
また、影を和らげる件について色々と機材頼みの話をしましたが、本当は自然光の活用とか、手持ちの機材をもっと頑張って使いこなす(照射範囲のコントロールや照射位置の調整)とか、色々試せることはあると思います。とはいえ、勢いに任せてProfotoのソフトバウンスを買ってしまったので、今後はこれを含めてもうちょっとライティングを実践式で勉強してみようと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。