Hasselblad X1D II 50C レビュー(中編)

本記事の概要

HASSELBLAD X1D II 50Cのレビュー(中編)です。もともと前後編の予定でしたが、思いのほか長くなってしまったので前、中、後編の3編に分けることにしました。前回の記事では1度目の購入経緯と、即売却に至った理由を述べましたが、今回は紆余曲折を経て2度目の購入に至った経緯を書いていきたいと思います。

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    前回のあらすじ

    デカいセンサーを使えば良い写真が撮れると考えた筆者は、愛用していたLEICA SLを下取りに出しHasselblad X1D II 50Cを導入したが、あまりの使い勝手の悪さに絶望して購入1週間後に売却した。

    1度目の売却、その後

    X1D II 50C 1度目の経験で私が得たのは「中判センサーによる画質のメリット<<使いにくさ」という知見でした。画素数に関していうなら35mmフルサイズセンサーにも高画素機が有るし、35mmフルサイズセンサーは44×33センサーに比べてセンサーの世代交代も早く、画素ピッチの小ささからくるダイナミックレンジのデメリットも抑えられているはず。改めてネットで様々な作例を漁ってみても、中判を使っているから良い写真になるのではなく、結局上手い人がたまたま中判を使っているので良い写真になるのです(私が中判で撮ってもネット上の凄い作例のようにはならない)。であれば、もう圧倒的に便利な35mmフルサイズを使ってしまえばいいんじゃないかと…。X1D II 50Cを新品購入価格マイナス17万円でなんとか売り抜けたあと、浮いた資金で私がとった行動は、(気の迷いでSONY RX1RM2を1ヶ月使った後)LEICA SLを買い戻すことでした。やはりLEICA SLは良かった。圧倒的なボディの質感に、X1Dに比べれば全然早いAF、そして世界最高峰のEVF。私は愛機と呼べる存在との蜜月を改めて味わいつつ、ボディと同時購入したズミクロン50mmに加えて、ズミクロン35mmASPH.やらPanasonic S50mm/1.4 PROやらを買い足し「やっぱりライカだな」という思いを強めていきました。

    とはいえ、そんな興奮も購入後3ヶ月が過ぎた頃には徐々に冷め、我に返った私は「アマチュアが写真を撮る意味」(意訳:記録写真ならスマホで良いのになんでウン十万の機材を使ってるんだっけ?)を模索し始めることになります。 そんな折、私が出会ったのがホンマタカシ著「たのしい写真」という本でした。(失念してしまいましたが、本著についてどなたかのブログに紹介があり、興味を持って購入。ブックオフで300円くらいで買えたのでラッキーでした)

    中判デジタルを使う意味・再購入の経緯

    この本の内容をごく簡単に要約すると「写真の誕生から、色んな人が、写真の表現のバリエーションを考えてきました」といったところでしょうか。これまで写真の歴史など知ろうともしていなかった私にとっては新鮮な本で、特に私が「なるほど」と感じたのが「ニューカラー」という表現手法(?)に関する記述でした。大判カメラを使い、三脚を立てて、普遍的な風景をゆっくり撮るという、スナップ写真とは対極にある表現手法です。このような手法によって過去の写真家が表現しようとしたことはおそらくとても深遠で、若輩の私には到底語ることはできません。しかしこのニューカラーという歴史から「道具を変えて、作法を変えることにより、これまで見えていなかった何かが見えてくるのではないか」というヒントを得た心持ちがしたのです。言い方を変えると「趣味で写真をやるならちょっと不便な方が張り合いがある」という縛りプレイの発想です。ついでにどうせなら皆があまりやってないことをやったほうがかっこいいので、同じ縛りプレイでも、先達のレビューが沢山ネットに上がっているライカのMFレンズではなく、ネットに全然情報のない中判デジタルでもやるかという身も蓋もない発想に至ったのでした。

    そんなこんなで再度中判デジタル購入を検討し始めた私ですが、とりあえずセンサーはデカいほうがかっこいいので、まずはX1D II 50Cと同じ44×33mmサイズではなく、645フルサイズ(53×40mm)や、もう一段階小さい49×37mmのセンサーを搭載したフェーズワンやハッセルブラッドの旧機種に狙いを定めました。特に興味を惹かれた(ギリギリ買えそうな値段だった)のがHASSELBLAD H5D-50(49×37mm)やH4D-60(53×40mm)でしたが、

    • でかい、重い(三脚の新調が必要)
    • デジモノとしてやはり古い(背面液晶が46万画素しかなかったり)
    • CCDセンサーの汎用性に疑問

    という3点の理由により残念ながら購入を見送りました(資金さえあればすごく欲しいです)。特にCCDセンサーの高感度耐性については、光を完全に作ることのできるスタジオでの使用以外ではかなり不自由することが予想されたため、購入見送りの理由のうち大部分を占めています(本当は、世にいうCCDの色というものをISO50で経験したかった…)。「三脚を立てて、ゆっくり(長秒露光で)撮る」という、本来やりたかったことから既に大分妥協していますが、面倒くさくなりすぎて持ち出さなくなったら意味がないので、もう致し方無しです。そんな折、あるカメラショップで、X1D II 50C + XCD 4/45Pに、おそらくアクセサリーキットのプレゼントキャンペーンで入手したと思われる未開封のバッテリー、チャージャー、レリーズコードが付属した中古キット(新同品)がきわめて良心的な値段で出品されていたため、この機会を逃すまいと考えた私は、以前1週間で売却したのと同じセットを、以前売却したのとほぼ同じ値段で再度購入したのでした。なんだかんだ過去の売却を後悔していたので、もう一度リベンジしたいという思いもありました。

    おわりに

    本記事では、私が1度目の売却から2度目の購入に至るまでの経緯を書きました。商品レビューとしてはまったく中身の無い内容になってしまいましたが、同じようにハッセルブラッドHシリーズとX1Dの購入を迷われている方がいれば、世の中にはこんな奴もいる、という参考にしていただけると幸いです。

    最後までお読みいただきありがとうございました。

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